cookpad Careers
Interview

CTOを退任し、いちエンジニアとして事業成長にコミット

成田 一生
エンジニア2010年

もっとユーザーに近い距離でサービスを提供したくて入社

クックパッドを選んだ理由

新卒入社3年目のときに転職という道を選びました。前職は大手IT企業でメールサービスを開発していました。他社ではなかなか体験できないような大規模なトラフィックをさばいていたので、勉強になることも多く、仕事自体も好きでした。しかし、社内専用の技術要素で構成されていたので、社外では使いまわせない知識や技術が多かったんです。

僕の大きなモチベーションとして、世の中で使われている技術を使って仕事がしたいという思いがあって。そしてもうひとつ、もっとユーザーと近いところで仕事がしたいと思ったんです。前職ではメールという秘匿性の高い情報を扱うサービスの性質上、ユーザーの情報をほとんど開発側が知ることができなかったので、ユーザーに向けたサービスをつくっているのに、ユーザーとの距離はとても遠い。その反面、クックパッドのサービスはユーザーとの距離がとても近いというところに魅力を感じました。

例えばユーザーからいただくご意見を見て驚いたのは、感謝の言葉がすごく多いんですよ。「家族においしいと言ってもらえてうれしかった」など、わざわざ「ありがとう」を言いに来てくれるというのがすごく衝撃的で。ユーザーから感謝が届くサービスって本当にいいなと思って、そういったサービスを提供する会社で働きたいと思いました。

「1行のログの向こうにひとりのユーザーがいる」という自覚

ユーザーに向いた良いサービスとは?

僕はエンジニアとしてのキャリアの多くをインフラエンジニアとして過ごしてきました。インフラエンジニアの仕事は、どんなにたくさんのアクセスがあってもサーバがきちんと動くようにすることです。それは決して簡単なことではありません。僕らは日々黒い画面を追いかけながらログを介してユーザーを見ているんですけど、そこで大事なのは、1件のエラーをパーセンテージで見ないこと。例えば、1万アクセスのうちの1エラーって、たった0.01%じゃないですか。グラフなんかにするともうほぼエラーはないに等しい状態。でもそうじゃなくて、このときひとりのユーザーがレシピを表示できない体験をしているわけなんです。

僕が大事にしているのは「1行のログの向こうにひとりのユーザーがいる」という考え方。以前クックパッドの同僚が言った言葉で、今でもその考え方を大切にしています。例えばとあるエラーを返した時に、そのエラーログを見たら「幼稚園 お弁当」というレシピ検索キーワードのエラーだったとします。そうすると「この人は幼稚園のお弁当を作りたいんだ。小さいお子さんがいる家庭なんだな」とか、ログの向こう側で困っているはずの、ひとりのユーザーが見えてくるんです。だから、エラーの1件1件を軽く見てはいけないんです。

クックパッドの強みとは?

クックパッドは昔からサービスの開発効率を経営課題として扱ってきました。そのため技術の方向性も開発効率に傾けた選定をしています。開発する速度、改善のサイクルを早く回すことがサービス開発の生命線なので、そこをのんびりやっていては他社には勝てません。経営レベルで開発効率に投資しているということが、結果、ユーザーに向いた良いサービスにつながると思っています。

人がやらないことをあえてやる。そこから自らの価値を見出す

なぜCTOをやったのか

僕のマインドとして、みんながやらないところで自分の価値が伸ばせそうな部分を見つける、という動きを昔から意識しています。2016年に現在のCTOというポジションに就いたときく前も、それを意識していました繰り返してきました。正直、マネージャ職は、自分の技術をユーザーのために使いたいと考えるエンジニアの中では不人気ポストです。最初に部長になったときもCTOになったときも、自ら手をあげました。会社をもっと良くしていきたいという思いが強かったので、自分の力で組織を良くできるんだったらやってみたいなと思ったんです。僕にとっては組織が良くなることが一番大事で、自分が出世するかどうかはどうでもいい。逆に言えば、それが実現できるんだったら別に僕じゃなくていいんです。未来の社員にとって成長できる機会にあふれる場所にしたい、という気持ちで、人材育成にも力を入れてきました。

CTOを退任し、今後について

2022年末をもって執行役CTOを退任し、いちエンジニアに戻ることにしました。執行役CTOとしての自分私の6年間は、社員にとって成長できる機会にあふれる場所にしたいという思いで経営をしてきました。クックパッドのミッションである「毎日の料理を楽しみにする」を実現するためには、優れたリーダーを次々と生み出すような組織であるべきだと信じているからです。ですので、これまで多くの時間を共有し、ともに困難を乗り越えてきた星に次世代を託せることを嬉しく思います。今後の私自身は、星を支えながらもこれまで作ってきたエンジニア組織に自ら飛び込み、いちエンジニアとして事業成長にコミットしていきます。